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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)2020年度の委託研究事業に2件採択されました。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業に採択されたテーマは,「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」と「火力発電設備保全用高解像度フェーズドレアイシステムの開発」の2件です。

1件目の『革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発』は2020年8月に採択され,2024年度までのナショナルプロジェクトとして名古屋大学等と共同で実施しています。
近年の中国の廃プラスチック輸入禁止に端を発したアジア諸国の廃プラスチック輸入規制強化の影響や,陸域から流出したプラスチックごみが原因となる海洋プラスチックごみ問題が背景となっています。これらへの対応に向けて,G7やG20でも重要な課題として取り上げられており,日本においても使用されたプラスチック資源を徹底的に回収し,循環利用していくため「プラスチック資源循環戦略」等が策定され,「革新的リサイクル技術の開発」が重点戦略の一つとして掲げられています。
本事業は,プラスチック製品の資源効率性,廃プラスチックの資源価値を飛躍的に高めるため,複合センシング・AI等を用いた廃プラスチック高度選別技術,材料再生プロセスの高度化技術,高い資源化率を実現する石油化学原料化技術,高効率エネルギー回収・利用技術の4つの分野で開発が行われ,当社は『高効率エネルギー回収・利用技術』の分野で開発を行います。
この分野では名古屋大学がチームリーダーを務め,当社,産業技術総合研究所,中央大学,東京電機大学,八戸工業大学および高砂熱学工業の計7者で廃棄物処理プラントにおける高温・低温排熱の高効率回収・利用技術開発に取り組みます。当社はこの中の高温排熱の利用効率向上について,燃焼灰付着による熱交換器の伝熱阻害を低減させる難灰付着性と,塩化物由来の高温化学腐食の低減による伝熱管の延命と施設稼働率向上に繋がる耐腐食性の2つの機能を具備した伝熱管表面改質技術の開発を行っています。

2件目の『負荷変動対応火力発電設備保全のための高解像度フェーズドアレイシステムの開発』は2020年7月に採択され,2022年度まで東北大学と共同で実施しています。
2018年に第5次エネルギー基本計画が示され,今後自然変動電源(太陽光・風力等)の導入が拡大する中,電力需給バランスを維持し安定供給するために,火力発電等による調整力の確保と信頼性向上が求められています。火力発電機器は高温高圧下の過酷な運転環境に晒されるため,金属組織の粒界等にクリープ損傷と呼ばれるごく微小な損傷が発生する場合があります。このクリープ損傷はサイズが桁外れに小さいため,先端の非破壊検査方法である超音波フェーズドアレイ(PA※)法でも検出することが不可能でした。
本開発では定期検査時の損傷モニタリングを可能にする,全く新しい映像化アルゴリズムを導入した高解像度PAシステムを開発し,従来検出できなかった微小なクリープ損傷の検出を目指しています。

※PAとは,100~200個の圧電素子を纏めた探触子で超音波を電子的に位相制御しながら送受信することで精密な音響像を瞬時に得る技術。