コンクリート用材料・土木工事用材料販売

石炭火力発電所から発生する石炭灰(フライアッシュ・クリンカアッシュ)はその特長を活かし,コンクリート用混和材をはじめ様々な分野でご活用いただいております。
石炭灰製品は,セメントとの置換利用によってCO2の削減に貢献しています。コンクリート打ち込み時のワーカビリティ向上,ひび割れ防止,材料費・トータルコスト削減などお客さまのニーズにお応えします。

フライアッシュ・クリンカアッシュの生産工程

次の発電所から発生する石炭灰を生産・販売しております。

  • 東北電力㈱能代火力発電所および原町火力発電所
  • 相馬共同火力㈱新地発電所(クリンカアッシュのみ販売)

石炭灰(フライアッシュ・クリンカアッシュ)の発生工程

石炭火力発電所では,微粉砕した石炭をボイラ内で燃焼させ,そのエネルギーを電気に変えていますが,この燃焼により溶融状態になった灰の粒子は,高温の燃焼ガス中を浮遊し,ボイラ出口で温度の低下にともない,球形微細粒子となって電気集じん器に捕集されます。これを一般にフライアッシュと呼んでいます。

このフライアッシュは,サイロに乾燥状態で貯蔵され,用途に応じて分級器で粒度調整を行い,製品サイロに貯蔵します。

クリンカアッシュは,ボイラ内で燃焼によって生じた石炭灰の粒子が相互に凝集し,多孔質な塊となってボイラ底部のクリンカホッパ(水槽)に落下堆積したものを破砕機で砂状に砕き,脱水槽で脱水したものです。

  • 石炭灰(フライアッシュ・クリンカアッシュ)の発生工程の図

実績とデータシート

フライアッシュとは

フライアッシュII種品をコンクリート混和材として使用した場合の特長は次のとおりで,ダム工事などをはじめ多くの分野で利用されております。

  • 長期強度の増進
  • アルカリシリカ反応の抑制
  • 乾燥収縮の減少
  • 水和熱の減少
  • 水密性の向上
  • 化学抵抗性の向上
  • ワーカビリティの向上および単位水の減少
  • 石炭灰の一般的な性状の写真

フライアッシュⅣ種品をトンネル掘削工事における吹付けコンクリートの細骨材補充混和材として使用した場合の特長は次のとおりで,工期短縮によるコスト削減と作業環境の改善に貢献いたします。

  • 流動性向上による圧送効率の向上
  • リバウンド量の減少
  • 粉じん低減による坑内作業環境の改善

フライアッシュの化学組成

化学組成 SiO2 Al2O3 Fe2O3 MgO CaO
含有率
(%)
40~75 15~35 2~20 1~3 1~10

(引用:石炭灰ハンドブック)

  • フライアッシュ電子顕微鏡写真

フライアッシュを使用したコンクリートの効果

滑らかな球形の粒子

  • 単位水量の低減
  • ワーカビリティ改善

フライアッシュの粒子の大部分は,表面が滑らかな球形です。
このため,フライアッシュを混合したコンクリートは,所要のコンシステンシー※1を得るために必要な単位水量を少なくできます。また,流動性が改善され,コンクリート打設が効率的に行われるとともに充填性がよくなり,仕上がり面が美しくなります。

水和熱の発生を緩和

  • 水和熱の減少

セメントの水和反応は発熱反応であり,この発熱を水和熱といいます。
特にマスコンクリート(ダムなどの大きいボリュームのコンクリート)では,水和熱が大きいと温度ひび割れが発生しやすくなるため,水和熱が少ないことが要求されます。
フライアッシュをセメントの一部に置換えたコンクリートは,水和熱の発生を緩和することができます。

  • フライアッシュ置換率とマスコンクリートの温度上昇関係試験例

長期材齢強度が向上

  • 水密性の向上
  • 長期強度の増進
  • 耐化学抵抗性の向上

フライアッシュを混合したコンクリートはポゾラン反応※2により,長期材齢の強度が大きくなります。
また,コンクリート組織が緻密になるので,水密性が大きくなり,接水工事にも有効になるとともに,硫酸塩,海水,薬液等に対して顕著な効果を発揮します。
なお,耐凍害性は普通コンクリートと同等です。

  • フライアッシュを混合したコンクリートの水密性の試験例

  • フライアッシュを混合したコンクリート圧縮強度との関係例

塩害抑制に貢献

  • 乾燥縮小の減少
  • ASRの抑制
  • 塩害の抑制

フライアッシュを混合したコンクリートは,硬化後の収縮率が小さくなり,また,ポゾラン反応により,緻密な組織となることで,塩化物イオンが浸透しにくくなり,また塩害抑制となリます。
ASR(アルカリシリカ反応※3)によるひび割れ抑制に効果を発揮します。

  • フライアッシュ使用によって、モルタル膨張が1/20になりASR(アルカリシリカ反応)がほぼ抑制された例

  • フライアッシュを利用したコンクリートの乾燥収縮試験例

  1. コンクリートの軟らかさの程度を示すもので,通常スランプ試験で定量的に表される。
  2. セメントの水和によって生じる水酸化カルシウムとフライアッシュの主成分であるシリカ・アルミナとの反応のこと。
  3. コンクリートの劣化のひとつで,コンクリートに含まれるアルカリ性の水溶液が骨材(砂,砕石)の特定成分と反応することによって,異常膨張やこれに伴ったひび割れを引き起こす現象のこと。

コンクリート用フライアッシュの品質規定(JIS A6201-2015)

フライアッシュI種 フライアッシュII種 フライアッシュIII種 フライアッシュIV種
二酸化けい素含有量(%) 45.0以上
湿分(%) 1.0以下
強熱減量(%) 3.0以下 5.0以下 8.0以下 5.0以下
密度(g/cm3) 1.95以上
粉末度 45μmふるい残分(%)
(網ふるい方法)
10以下 40以下 40以下 70以下
比表面積(cm2/g)
(ブレーン方法)
5,000以上 2,500以上 2,500以上 1,500以上
フロー値比 % 105以上 95以上 85以上 75以上
活性度指数 % 材齢28日 90以上 80以上 80以上 60以上
材齢91日 100以上 90以上 90以上 70以上
  • 当社では、フライアッシュII種とIV種品を販売しております。
  • フライアッシュI種、II種、III種、IV種品は生産できる発電所が限られています。

クリンカアッシュとは

クリンカアッシュは砂に似た外観ですが,表面積が大きく水分保有性に優れ,性状も安定しているため,火山砂利の代替としてグラウンドの中層材として使用されたり,山砂の代替として一般土木工事の埋戻材や道路材としてお使いいただけます。

  • 透水係数が大きく良好な透水性・排水性を有する
  • 空隙が多く水分を吸収する
  • 天然火山砂利より硬くつぶれにくい
  • 化学的に安定
  • 最適含水比が高く乾燥密度が低い
  • 石炭灰の一般的な性状の写真

クリンカアッシュの化学組成例

化学組成 SiO2 Al2O3 Fe2O3 MgO CaO
含有率
(%)
52~64 17~27 4~11 1~3 2~9

(引用:石炭灰ハンドブック)

  • クリンカアッシュ電子顕微鏡写真

特性試験値

  • クリンカアッシュと一般土壌との水溶性比較表

    クリンカアッシュの比表面積

  • 各種土壌の比表面積の棒グラフ

    クリンカアッシュの透水性測定例